天使のお便り 翼の国へ


天使のお便り 翼の国へ 第3回 「画集の出版」

先に「詩とメルヘン」「MOE」のお話をしましたが、ここでの仕事を通して画集が次々に発表されていきます。

最初が「停まらない電車」で川添エイコさんの詩のイラストの仕事です。
本自体がコンパクトなサイズのためイラストも小さなものが大半です。
そのなかで「停まらない電車」「永遠のひと」「ニひきのシミ(現在はMystic Moon)」 が生まれます。

そして最初の画集「予感」が1985年に出版されます。この画集は雑誌で発表した。
作品にと初期の作品をまとめたものです。「予感」には初版と改定された新版の2種類がありますが 基本的に収録された作品は同じです。違いは表紙の装丁と最後の作者の紹介文だけです。
最初の画集「予感」ですでにその後の画集でも使われるスタイルが確立します。
それは、作品をいくつかのテーマに沿ってまとめ、それぞれの扉に言葉が添えられるという形で、後の画集では、 作品の要所々に詩が添えられていきます。
「う化」「神曲」「予感」「誕生」で「誕生」はやなせたかし氏との対談です。
取り上げらテーマは、生まれくるもの、神秘的なものと、その後も繰り返し登場するテーマが当初からあったといえます。

そして第2画集の「夢の中で」が1986年に出版され、この中で代表作となる「金の森 銀の森」「金色の森の少年」 「金色の森の少女」が画集のために描き下ろされました。
1988年「月の雫」が出版され、この中にきたの自身の分身ともいえる、「Luna」が登場します。
画集「精霊の国」では森の精霊たちを、「結晶庭園」では鉱石をテーマに「12の花物語」では立原えりかさんの文章と 12ヶ月の季節の花々を花言葉を手がかりに作品化し、「星たちの祈り」では星の誕生とその世界を描き、「聖なる森の物語」 では森とそこに咲く花々の織り成す色鮮やかで神秘的な世界をテーマした作品が集められました。

それぞれの画集には星の世界、精霊、森、夢ときたのじゅんこの重要なモチーフが一貫性をもって登場してきます。 そして画集は比較的、安価であったこともあり広いファンを獲得することにつながっていきました。

しかし、出版物という形式では作品のもつ微妙な色など表現できないといったクリエータとしての限界を感じるようになってきました。

次回は、この課題をどう解決していったかという話題を取り上げます。

参考文献
  画集 きたのじゅんこ 「予感」「夢の中で」
 「月の雫」「結晶庭園」「12の花物語」
 「聖なる森の物語」

2005/08/20



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