天使のお便り 翼の国へ


天使のお便り 翼の国へ 第5回 「夜と星」

まねき猫です。

これまでの4回は歩みと作品発表の過程を見てきました。
今回はより作品の内容について考えていきます。

最初のテーマは「夜と星」です。
ファンの方なら、きたの作品の多くが夜や闇、星の世界を描いたものが多いことにお気づきかと思います。 画集のタイトルに「星たちの祈り」という星をテーマにしたものまであります。

最初の画集「予感」には「夜の音」「屋根」「アルタイル」「銀河の砂」のよう背景が星のまたたく夜空に人物が浮かび上がるように描かれています。

私たちの日常生活は24時間営業のコンビニエンスストアに代表されるように昼夜問わず働き、夜も昼間と同じくらい明るく照明で照らし眠らない 生活があたりまえのようになっています。夜道も街頭が灯り、安全ではありますが、夜の深い闇を感じることが少なくなっています。 この様子は都市の部分が明るくなっていることが宇宙から確認できるほどです。

そのためか、夜空を見上げても月明かりさえ感じないほど都会の空は明るくなっています
しかし、この状況は19世紀後半、町に電気の明かりが普及してからのことで、それはでは、夜は深い闇と月と星の明かりだけの世界だったのです。
画集「予感」に「自然の中に身を浸したい思いにかられる時、そういう時には、星空を見に行くことにしている。」とあります。
そして「そんな星々をちりばめた天空のしたで、私はいつの間にか一本の樹木と一体になって星空を見つめています」とあるように、 きたの先生は星空の世界に自然と人が一体感を感じているようです。

わたしも小学生のころから星が好きで、毎月プラネタリウムに通い星座を覚え見ていました。そして野外学習のキャンプファイアーで 見た満天の星空に天の川を見たときの感動が忘れられません。そして一人夜空を眺めていたときの感覚を記憶しています。

そして先生は「その一時、自分が大きな自然や宇宙や運命の中で生きていることを思い起こすのです」と記しています。 このような、感覚が絵を生み出す原点になっていと思われます。

客観的な冷たい夜空でなく、自然の命のつながりを感じる、 その表現として夜空を背景に、命を象徴する少年や少女たちが登場するのでしょうでもこれは、近年の科学の発見により単なる 幻想でなく、事実であることがわかってきました。私たちを形作る原子は星の中で生まれたものであり、彗星が生命誕生に かかわっていること、そして星の世界にも誕生と死、再生のドラマがあることなどです。画集「星たちの祈り」はまさに、 そんな星の世界が、天の王国の物語の形をとって、私たちの身近なものとして描かれています。

たまには、明かりを消してゆっくり夜空を眺めてみるのもよいかもしれません星たちのかすかなささやきが聞こえて来る かもしれませんよ

参考文献 きたのじゅんこ 「予感」
      マーカス・チャウン 僕たちは星のかけら ISBN4-89585-934-7

2005/09/03



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