天使のお便り 翼の国へ


天使のお便り 翼の国へ 第9回 「光と闇」

みなさんは夜道は怖いですか?子供のころ夕方一人でいると心細くなりますよね。 また、塾の帰りなど一人で帰るのはやはり怖いですよね。

最近は街灯が明るく本当の暗闇は少ないですので昔ほど怖くないかもしれませんね。
家の中も明るくてトイレが怖いなんてことはないですよね。
人は闇の中に幽霊やお化けのような人間でない不思議な存在を感じ信じてきました。 きたの先生の作品を見てるとふとそんなことを思い出します。

先生の代表作「金の森 銀の森」や「夜想曲」「悲しがる君に」「朝に向かう闇」など 夜の森に息づく命のような存在が多く登場します。

夜は多くの動物が休みにつく時間、疲れを癒し明日へのエネルギーを蓄え、夢を見、 成長する大切な時間です。多くの童話でも寝てる間に小人が現れ仕事が終わる話がありますが 夜には不思議な力があるように感じているのでしょう。

 私は以前海の近くに住んでいて、夜砂浜に出かけたことがありますが、光ひとつない吸い込まれ そうな闇のなかで、ただ波の音が響く世界に怖いような感覚を覚えました。

きたの先生は以前、夜遅くに創作することが多かったそうで、夜の不思議な魔力が先生に インスピレーションを与え作品になったのかもしれません。
「目に見えない世界を絵に表現したい」との先生の感性が夜の闇に形を見出したのかも しれません。

 それから夜を描いた作品の人物にはなぜか影がありません。それはまるで、自らのうちから 光を発して輝いているように感じませんか? 西洋絵画のレッスンを受けたことのあるひとはご存知かと思いますが、まずデッサンの 勉強で叩き込まれるのは立体感を出すための陰影描くことです。

 きたの先生の絵もリアルな人物表現なのですが伝統的な陰影法ではなく、自分の表現した 生命の輝きを表すための独自の表現であるといえます。初期のモノトーンの地味な作品には 先生自身が無意識に感じた奥深い世界を現れを感じます。

 都会では建物をライトアップして美しく飾ることが多くなってきましたが、夜の闇に生き物の 気配を感じることは少なくなってきています。最近、地球環境を考え照明を消しキャンドルで すごすことが流行してます。部屋の照明を少し落とし、きたの先生の作品とキャンドルのほのかな明かりですごす ひと時はいかがでしょうか

 

2006/06/17



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