夢の宝石箱

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ベガさん 「私ときたのじゅんこの絵」

  私が先生の絵と出会ったのは、今から15年程前、「詩とメルヘン」という雑誌がきっかけでした。叙情画を描 く作家は何人かいましたが、先生の絵には他の作家にはない魅力がありました。それは、色鉛筆のやわらかなタ ッチで描かれる幻想世界と、天使や妖精、少年少女たちの愛らしく清らかな表情でした。特に目が印象的で、時 々画集を眺めては日々癒されてきました。
  ちょうどその頃、私は天使を主人公にした小説を書き始めました。いまだに書きつづっている長編小説です。 私の夢は、表紙に先生の絵をつけてこの小説を出版することです。どうしてかというと、先生の作品には私の小説のイメージにぴったりなところがたくさんあるのです。例えば「金の森 銀の森」「金色の森の少年」「パピヨン」などです。特に「金の森 銀の森」はお気に入りで、小説の全体的イメージそのものです。

  しばしば思うことがあります。先生と私はどこかでつながっているのかな、と――。もちろん作品を通してです。また、先生ほどではないけれど、私は木々の息吹や小鳥のさえずり、小川のせせらぎなどに耳を傾けるのが好きです。過去、水晶などのさまざまな石を集めたこともありました。このような、先生と共通の趣味を見つけたりすると、とても嬉しくなります。
  最近、ケルトに興味を覚えるようになりました。きっかけは作品「アイオナの人魚伝説」でした。私はケルトについて何も知らなかったので、人魚とカトリック修道士を描いた、この2枚を一つとする作品は、長いこと私にとって不思議でした。もちろん調べました。するといろいろなことがわかってきました。「アイオナの人魚伝説」は、人魚と修道士の悲しい恋の物語を描いたものだったのです。謎が解けると、この絵がより一層素晴らしいものに見えてきました。人魚の悲しい心がひしひしと伝わってくるのです。こぼれ落ちる涙はまるで真珠のよ うです。
  ケルトには他の神話にはない不思議な魅力があります。キリスト教の伝播によって、ケルトの神々がしだいに小さな姿となり、妖精へと変わっていったというのは何とも悲しい話ですが、数々の神話や民話、また芸術を通して、あるいは先生の作品を通してケルトの素晴らしさを知ることができます。
  最後に、作品を通し、いつも素晴らしい夢を与えてくださり感謝いたします。作品の中に住まう愛らしい、あるいは美しい住人たちが、これからも私たちを楽しませてくれますように。

きたの先生の絵との出会いのエピソードです。みなさんもそれぞれ
大切な思い出があるのですね。(管理人)